周南コンビナートの特徴
周南コンビナート地域は、石油精製、石油化学をはじめ、無機化学、鉄鋼、セメントなどの多彩な基礎素材型産業が集積していますが、周南独自の特徴としては、苛性ソーダの生産を軸とする無機化学と石油精製と連動した有機化学(石油化学)が融合したコンビナートとして、多種多様な化学製品を生み出しているということです。生産物は、中間資材が多く、様々な機能性材料や、バイオ関連材料、電気・電子部品用素材など、高付加価値の新素材を供給しています。
周南コンビナートの基本イメージ
- コンビナートの生産品目~多種多彩な基礎的素材と製品群の創出~
周南コンビナートでは、無機化学と有機化学が融合する複合化学コンビナートとしての特徴を発揮し、多種多彩な基礎的素材とそれを原材料とする化学製品群を産み出している。その特徴は次のとおりである。
- 無機化学において、苛性ソーダの生産量が全国有数
- 石油(有機)化学において、全国有数のエチレンセンター
- 大量のエチレンを起点にした有機基礎素材を産出。強い競争力を有する塩化ビニルモノマーの生産量は全国一
- 塩化ビニルモノマーの生産において無機化学の副生物である大量の塩素が利用されるなど、無機化学と石油(有機)化学が融合
- 無機化学系及び有機化学系の基礎素材を利用した多種多彩な製品(多結晶シリコン、窒化アルミニウム、シリカ、石英ガラスなど、先端的な電気・電子産業に用いられる素材や自動車・産業用資材のための樹脂原料、医療用製品・素材、衣料・スポーツ用品などの先端的な素材)の生産
- その他の特徴
①自家発電周南コンビナートでは、無機化学における苛性ソーダの工程において、電気分解のために安価な電力を大量に必要とすることから、企業による自家発電が拡大した。その発電量は第2位の四日市コンビナートの約1.8倍と他のコンビナートを大きく超えている。
②副生水素苛性ソーダ生産工程において、電気分解によって純度の高い水素が発生する。全国の推定水素供給可能量は62.9億Nm3であり、その内の8. 9億Nm3が山口県分となっている。この副生水素の発生能力はわが国第1位であり、県ではこれに着目し、2004年に「水素フロンティア山口推進構想」を策定している。
③環境事業の展開周南コンビナートは構造改革特区制度の中で「環境対応型コンビナート特区」としての取組を行ってきた。また、周南市は「山口エコタウン」の構成地域となっており、資源リサイクル事業、省エネルギー、新エネルギーへの取組が盛んである。
④地球環境問題からみたコンビナートの課題周南コンビナートの各企業は非常に高いエネルギー効率を実現しているが、基礎素材型産業がエネルギー多消費型の産業であり、二酸化炭素排出量が非常に大きいことから、省エネルギーと二酸化炭素排出量の削減が今後の大きな対応課題となっている。