特殊素材を使った製作・施工で急成長
株式会社城永は、プラント工場や民間企業などのプラント設備・給排水設備などで利用される塩化ビニール・強化プラスティック機器・配管の製作・施工、また、ライニング工事や鋼構造物を行う企業である。
創業は1994年(平成6年)、設立が2007年(平成19年)の若い企業である。同社の原田社長が個人事業としてスタートし、仕事の地盤や組織をしっかり固めて法人化に至っている。現在では、本社・工場のある周南市を拠点として全国に顧客を持つ企業に急成長している。社長 原田 浩さん
社長の強い思いで起業
優れた耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐溶剤性を持つ塩化ビニールや軽量で金属よりも比強度が大きく保湿性の高い強化プラスティックの製作・施工をする企業は周南市でも少なく、山口県内でも数えるほどだ。そのような特殊素材を取り扱うようになったきっかけは、原田社長の強い思いからだった。
高校を卒業後、(株)トクヤマの協力会社に就職した原田社長は、約3年間、鉄鋼・プラント設備関連会社で下積みを経験する。その頃から将来は起業したいという目標を持っていたが、周南地域では古くから周南コンビナートを形成しており、鉄鋼やプラント関係の製作・施工業者が非常に多かった。同業種で勝負をしていくのが難しいと判断した原田社長は、特殊な材料を使った製作・施工に着目し、一から技術や技能を勉強していく。21歳の時だったという。しかし、特殊材料を使った製作・施工の業務は、鉄鋼・プラント関連の業務以上に過酷な業務環境であり、一度納品すると約10年という耐久性がある製品が多く仕事自体が少ない業種でもあった。若くして起業の夢を持っていた原田社長は、普通の人が持っていない様々な技術を持ちたい、そして、この技術を継続していきたいと頑張っていった。仕事の信頼が結ぶネットワーク
その後も地元でコツコツと仕事をしながら、確実な技術と技能を身につけていった。
ある日、(株)トクヤマの工場内で比較的大きな仕事を請けとても忙しくしていた。ある大手ゼネコンから連絡があり、今手がけている工事が納期に間に合わないので手伝ってほしいと依頼であった。別の地元業者からの紹介であった。これは何とかしなければという思いから社長が先頭に立って昼間は自社の仕事、夜は依頼を受けた仕事をし、がむしゃらに頑張って納期に間に合わせた。以後、そのような依頼を数多く引き受けた結果、お客さんからも、工事業者からも圧倒的な信頼を勝ち取っていく結果となった。もともと数少ない業種ということも手伝い、あっという間に同社の名前は全国に広まっていった。
このようになるまでには、トップの社長が最前線で頑張ることもあるが、管理職社員の奮闘も相当なものがある。社長が出張しているときはしっかりと地元の仕事を守り、工程管理や利益管理、他の仕事との連携などしっかり行っているのである。社員の成長が今後の会社の成長でもあると、原田社長は語る。
仕事量の増加に伴い以前の工場も手狭になり、2010年、周南市が管理していた米光企業団地に新設する。以前の市街地の立地では、近隣に対してどうしても迷惑をかけることがあったが、周南市の山間部に位置する米光地区はそれを解決してくれた。また、高速道路や周南コンビナートへの交通アクセスも良く、ここへの進出は同社にとって大きな転機となったと言える。米光企業団地の新工場
東京スカイツリータウン®工事にも参加
2011年3月11日、最悪の東北大震災が発生した。その復興工事が4月から始まったが、当然、同社にも工事の依頼がありそれまでの同業者とのネットワークで最大の努力をしてきている。
また現在、話題になっている東京スカイツリータウン®を中心とする東京スカイツリータウンの建設工事にも関わっている。東京スカイツリー本体の工事ではないが、2012年5月に同時オープンする東京スカイツリータウン内の(仮称)墨田水族館の設備工事に参加している。同社の強みの一つに、製品を工場だけで作るのではなく現場でも作ることができるということがある。この強みも工事の受注につながっている。
日本を代表するビッグプロジェクトに携わっていることは、同社にとっても大きな励みとなっている。