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株式会社魚谷工作所
「喜ばれる技術で世の中に貢献する」が会社理念
同社は、1946年(昭和21年)に鉄工業を始め、旧南陽町の時代に水道工事を手掛けるようになり事業を拡大していった。オイルショック後の不況時に鉄工業から撤退したが、水道工事を中心に土木・機械器具設置工事なども施工するようになった。
近年「サークルカッター工法」、「しっかりアンカー」、「マルークカッター」などの道路上の鉄蓋維持管理の技術・製品を独自開発し、新たな事業の柱に育っている。

鉄蓋円形取替工法「サークルカッター工法」
ライフラインの多くは道路の地下に埋設されている。その点検口である鉄蓋の取替修繕にローコスト・スピーディを特徴とする特許工法(※特許6、出願中特許3、意匠4、商標4)で施工する。現在、中国地方を中心に会員が活躍している。
(施工:工法会員 (株)中電工)
下水道鉄蓋用アンカー「しっかりアンカー」
1998年9月、高知市で水害時に鉄蓋が外れていたことに気付かずマンホールに人が落ちて亡くなった事故があり、それを受けて鉄蓋は内水氾濫が起こると枠より浮いて水や空気の圧力を逃がし圧力が下がれば枠に収まる構造に変わりつつあった。鉄蓋の強度規格は106kNであり、アンカーは3本使用するからアンカー1本当たり、約36kNが必要最低強度である。せっかく安全性の高い鉄蓋を取替えても止めておく強度がなければ意味がない。また道路上で行う工事であるから、早く交通開放できなければいけない。当時、これらの条件を満たすアンカーは無かった。
本製品は、旧新南陽市時代の下水道鉄蓋取替工事の際、今まで触れなかった下桝と鉄枠を緊結するアンカーやボルトの必要強度について確認をすること、そして施工品質を確保するよう指摘を受けたことが開発のきっかけとなった。2005年、同社で高強度アンカー「しっかりアンカー」を製品化した。
現在では神戸市や広島市等の政令指定都市を始め、アンカーの強度規格(3本で106kN)を仕様化している自治体が増えており「しっかりアンカー」が使われている。
(※なお、現在「しっかりアンカー」は、(株)グラウンドデザイン研究所の製品であり、同社は製造を行っている。)

舗装フリーサイズ乾式円形カッター「マルークカッター」
鉄蓋取替は鉄枠共、取替えるため、舗装の切断・破砕・復旧が必要である。以前は鉄蓋の回りを四角に切断して施工をしていたが、少ない廃棄物、短い工事時間、低コストを考えれば、円形舗装切断・円形復旧が一番効率が良い。ところが、従来の円形機械は、大きな動力が必要となる大型機械であり、切るサイズも限定される。
そこで同社は①道路上の様々なサイズの鉄蓋に対応できるフリーサイズ円形切断ができること、②人力で積み降ろしができる程度の小型・軽量機械であること、③乾式切断と、切断粉が回収リサイクルできることを目標に開発を行った。
カッター刃は(独)山口県産業技術センターで形状解析を行い”小さい力で効率的に切れる円形切断刃”の技術が完成し、2009年、乾式で人の手で積み降ろしが出来る小型・軽量(約50kg)の機械が完成した。
また、2012年、ラインナップ機械「マルークカッター100」を完成している。



周南市から全国へ
開発者の魚谷取締役は、同社が建設業から第2創業できたのは、(財)やまぐち産業振興財団の手厚い支援であり、また(財)周南地域地場産業振興センターの日々のサポートであったという。平成22年には(財)やまぎん地域企業助成基金からも助成を受けている。
周南ものづくりブランドの認定も受け、周南市から全国へと鉄蓋を通して喜ばれる技術で貢献していく。

~取材日:2012年6月~
