エルエスピー協同組合-山口県周南市企業情報データベース「じゃから、周南」

  • 周南市ホームページ
  • しゅうなんマイスター
00076209
TOP > 周南市を拠点に頑張る企業 > エルエスピー協同組合
周南市を拠点に頑張る企業Company of Shunan city

エルエスピー協同組合

エルエスピー協同組合

〒745-0025 山口県周南市築港町6-10
化学薬品の製造・販売
省エネルギー製品の開発を産・学・公で挑戦。
同組合は、1992年(平成4年)に(公財)周南地域地場産業振興センター、山口大学工学部、周南地域企業4社の産・学・公の研究会「エルエスピー研究会」の発足からスタートする。その研究会で、密閉冷温水系配管抵抗低減剤「LSP-01」の開発を始めた。
 1994年(平成6年)には、空調システムでの実証実験を日本で始めて試み、30%の電力を節電することに成功した。その後、1995年(平成7年)には同組合を設立し、製品の商品化を図るとともに全国展開を開始した。
 密閉冷温水系配管抵抗低減剤「LSP-01」は、界面活性剤を主成分として、熱媒輸送動力(ポンプ等)の低減に効果を発揮する密閉冷温水系用の添加剤である。配管内の水が流れる際の抵抗を低減し、直管部の圧力損失を最大70%低減する。循環ポンプの省エネルギーに貢献する製品である。
松村敏男理事長松村敏男理事長
LSP-01MLSP-01M
「LSP―01」は、搬送動力の電力費を大幅に削減!
水に界面活性剤を混ぜると管内の抵抗が減る現象は1949年、英国の研究者B.A.Tomsによって報告されていた。実際、欧米や日本で界面活性剤を循環水に混ぜて省エネを進めた事例もあったようだ。しかし、効果を公開するケースが少なく、省エネ対策として信頼性に欠けていた。世界的にその研究が始まったのは1990年代である。
 界面活性剤を水溶液にすると、水となじみやすい部分の親水基と水となじみにくい部分の疎水基の部分に分かれ、界面活性剤を規則的に並んだ集合体ができる。これは「ミセル」と言われる。「対イオン剤」を添加すると「棒状ミセル」を形成し、配管抵抗低減効果があると言われている。少ない添加量で広い温度範囲に渡って抵抗低減効果を示す界面活性剤を使用しており、配管の防食機能も併せ持っている。
 「LSP-01」は、界面活性剤と特殊なイオンが配合されているため、水に添加された後にミクロン単位の棒状ミセルとなり、この働きによって水の流動特性が大幅に変化し、流動抵抗が驚異的に少なくなる。流動抵抗の低減率(Drag Reduction:DR効果と呼ぶ)は実験室的には最大70%にも及ぶという。
 この製品の適用箇所とすれば、一般的にビル・工場・病院・デパート・ホテル・公共施設等の空調設備の冷温水循環経路である。界面活性剤が空気に触れると泡が生じるため、配管が密閉されていることが条件となる。
球状ミセル球状ミセル
球状ミセル球状ミセル
球状ミセル球状ミセル
札幌市役所庁舎の暖房用水循環ポンプで実証
2006年、産総研(独立行政法人産業技術総合研究所)を中心に東京理科大学などとの共同研究として札幌市役所で同社の製品が使用され効果を実測しデータ公開で信頼性を高めた。
 冷暖房の熱媒体である水に界面活性剤を注入し、流れを層流化することで流体(界面活性剤を含む水)と配管内壁との摩擦を低減できる。これにより各部屋の冷暖房器に水(冷水や温水)を供給しているポンプの動力を削減し省エネルギー化をはかる。界面活性剤の注入によって水の循環流量が増加するが、定格流量に戻すために、インバータを用いて供給電気の周波数を落しポンプの回転数を下げた。この際ポンプ動力の減った分が電力の削減となる。
 実証研究に先立ち、事前に基礎的検討を加え界面活性剤は「LSP-01A」が用いられた。市役所本庁舎施設での実証研究では周波数35ヘルツで定格流量が維持できたので、これまでの50ヘルツ運転に比べ実測値で65%の電力量の削減となった。2005年2月下旬から5月中旬までこの条件で暖房運転を行いシステムの安定性、暖房性能などを中心にデータを取得してきたが特に問題は起きなかった。
 今回実証研究の対象にしたのは、定格出力37kWのポンプと保有水量約32トンの貯水槽を含む温水循環システムである。このシステムが一日10時間、一年で240日運転され、電力単価を11円/kWhとして試算すると、年間の節電量は58,000kWhで、63万円の経費削減となる。また、二酸化炭素排出係数を0.555kg/kWhとすると年間32トンの二酸化炭素排出量削減となった。
札幌市役所札幌市役所
LSP-01ALSP-01A
期待される今後の展開
産総研の札幌市役所への実証実験導入後、2007年周南市の周南ものづくりブランドの認定を受ける。2008年に水循環設備の輸送エネルギーを20~50%低減できるという項目で「大学発ベンチャー功労賞」、2009年には、配管抵抗低減剤を用いた省エネルギー技術の開発と普及で「グリーン・サスティナブル・ケミストリー賞」「環境大臣賞」を受賞した。
 導入事例として、北海道帯広市庁舎や北海道大学医学部病院、関東地区の商業施設や都内の高層オフィスビル、都内の大型データセンター、大分県の半導体工場など国内130施設以上の多くの実績があり、確実に成果を上げている。
 この「LSP-01」は、既存システムに手を加えるだけで済む省エネ対策として、今後益々注目されている。
グリーン・サスティナブル・ケミストリー賞グリーン・サスティナブル・
ケミストリー賞
環境大臣賞環境大臣賞

~取材日:2012年7月~

企業情報検索